2016年08月01日

105.2 第百二話 後半



21時になろうとするドットメディカルの一室にはまだ明かりが灯っていた。
パソコンと向き合う今川は時折送られてくるユニコードを変換し、それに返信をする作業をしていた。

Это тот факт, что Юрий знает о местонахождении Набэсима.
ユーリは鍋島の居場所を把握しているということだな。

возможно
おそらくは。

Является ли капитан знает подробности?
キャプテンはその詳細を把握しているのか

Нет
いいえ

汗を拭った今川は大きく息を吐いて天を仰いだ。
ー執行部はどうすると言うんだ…。このまま放っておけば悠里は期限までに何らかの方法で鍋島を片付ける。それが執行部にとっては面白く無いんじゃなかったのか?
今川はパソコンの画面を見た。
ーさっきから執行部は悠里の周辺状況を聞くだけで、鍋島排除の停止命令を発してこない。執行部からストップがかかればいつでも悠里にその命令を言い渡せるのに…いったい何を企んでる…。
再びメールが届いた。

План после даты Набэсима исключения?
鍋島排除の期日後の計画は?

Запустите пример массива
例のアレを実行します

"Пример"?
例の?

Ни в коем случае не делать этого тоже не знаете?
まさかこれもご存知でないのですか?

Не слушайте.
聞いていない

今川の額から再び大量の汗が吹き出していた。
ーなんで…。なんでこんな大事なことを…。
矢先、彼の懐にある携帯電話が震えた。画面に表示される文字を見て、それを取り出した今川の手は震えだした。
「キャプテン…。」
今川は無意識のうちにキーボードを叩いていた。

Существует телефонный звонок от капитана. Как I.
キャプテンから電話あり。どうすればいいですか。

Я из
出るんだ。

深呼吸をした今川は電話に出た。
「はい。」
「…どうした。声に元気が無いぞ。」
「あ…いえ…ちょっと仕事が…。」
「そうか。」
「ええ…。」
「鍋島の件はどうだ。」
「下間に任せてあります。」
「その後の手筈は。」
「え?」
朝倉はため息をついた。
「言っただろう蜥蜴になれと。」
「…。」
「先の先を読まないことには後手に回るぞ。」
「先の先…。」
「明日だろ。」
「…ええ。」
「あれが起こされてからだと尻尾は切りにくくなる。」
「しかし…悠里や麗が居ないことには、コミュの実働隊の統率が取れません。」
「確かにな。だがこういうのはどうだろう。」
「なんでしょう。」
「その明日のコミュに突如反乱分子が侵入。何らかの形でその場で悠里と麗がその輩に殺されるってことになれば。」
「え?」
「どうだ。」
今川の手は再び震えだした。
「目の前で運動のシンボル的な存在が無法者によって殺害される。それに怒り狂った一部の狂信的な者たちがかねてより悠里の指示で準備していた行動を実行に移す。」
「え…。」
「どうだ。いいシナリオだと思わないか。」
「し…しかし…。」
「お前の秘密を知る3人のうち2人は見事綺麗に掃除され、あとに残るのは下間芳夫のみ。」
「下間ひとりはお前の手でなんとかなるだろう。」
「そ…それは…。」
「コミュには村井とかという男が居る。こいつは悠里の狂信的な信者だ。悠里の意志を引き継いでコミュを統率できる力を持っている。明日のコミュの決起に関しては問題はなかろう。」
「…。」
「問題はその掃除屋に誰をあてがうか…。」
「…。」
「どうした今川。何黙っている。」
「…いえ。キャプテンのあまりもの深謀遠慮でしたので…。」
「それは額面通り褒め言葉として受け止めてもいいのか?」
「…はい。」
朝倉はクスクスと笑った。
「今川。熊崎を使え。」
「は?」
「悠里ほどの実力をもった人間を確実に葬れる人間は限られている。その手の人材をカタギに見出すのは難しい。ときにはシノギの力を借りるのも良いだろう。」
「仁熊会ですか…。」
「ああ。直ぐに手筈を整えろ。あいつらも準備ってものがあるだろうからな。」
「かしこまりました。」
「後は明日の決行を待つだけだ。」
「…キャプテン。」
「なんだ。」
「…片倉の件は。」
「順調だ。これも明日こっちに来るようになっている。」
「こっちに?東京にですか?」
「ああ。貴様から送られてきた画像が示すように、あいつの精神はギリギリの状態だったようだ。」
「と言うことは。」
「ああ籠絡した。明日、県警の公安部隊は隙だらけになる。」
「…。」
「面白いことになるぞ。」
こう言い残して電話は切られた。それと同時期に再びメールが届いた。

Отчеты белый.
報告しろ。

Инструкция по делу урегулирования Юрия и Рей в завтрашнем сообществе.
明日のコミュで悠里と麗を始末せよとの指令。

Что вы будете делать?
お前がやるのか

Нет. Летучая колонна.
いいえ別働隊に

Летучая колонна?
別働隊?

Да. Jin'yuukai.
はい。仁熊会です。

Было найдено. После того, как Оставьте его здесь.
わかった。後はこっちに任せろ。

Как мне меня.
私はどうすれば?

Мы продолжаем ждать.
引き続き待機。

постижение
了解。

メールのやり取りは終わった。
ー仁熊会への手配はどうすればいいんだ。朝倉から熊崎へ確認が入ったら、俺のサボタージュがバレる…。だが執行部は任せろと言ってる…。あぁ…俺はどうすればいいんだ…。
今川は頭を抱えた。
ー下間一族を消せだと…。あいつはどこまで非情なんだ…。この調子だといずれ俺も…。
ふと彼は窓に映り込む自分の姿に目が行った。
数日前の自分の顔と比較して頬はげっそりとし、目の下が腫れ上がっている。明らかにやつれた様子だ。
「なんだ…これが俺か…。」
posted by 闇と鮒 at 01:00| Comment(0) | ポッドキャスト | 更新情報をチェックする
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